年収の「平均」と「真ん中」はなぜちがう? 国税庁の統計で見る給与のリアル
2026年10月20日
「日本の平均年収は○○万円」というニュースを見て、「自分はそんなにもらっていない」と感じたことはないでしょうか。それは、あなたの感覚がおかしいのではなく、「平均」という数字のくせによるものかもしれません。スペック診断で使っている国税庁「民間給与実態統計調査」(令和7年分)の数字で確かめてみます。
平均と真ん中(中央値)の差
この統計は、1年を通じて民間の会社などで働いた給与所得者の、1年間の給与の分布をまとめたものです。スペック診断で使っている給与階級別の表から計算すると、次のようになります。
| 平均 | 真ん中(中央値・推計) | 300万円以下の人 | 1,000万円を超える人 | |
|---|---|---|---|---|
| 男性 | 約597万円 | 約510万円 | 18.0% | 10.2% |
| 女性 | 約342万円 | 約300万円 | 49.3% | 1.8% |
※中央値は、100万円ごとの階級の人数から、スペック診断と同じ方法でなめらかにつないで推計した値です。
男性では、平均が真ん中より80万円以上高くなっています。給与の人数を並べると、300万〜600万円あたりに人が集まり、右側(高い側)に1,000万円、2,000万円を超える人が長く続く形になります。この「右に長いしっぽ」が平均を引き上げるため、平均は「ふつうの人」よりも高めに出ます。
たとえば10人のうち9人が年収400万円、1人が年収2,000万円だと、平均は560万円になりますが、10人中9人は平均より下です。給与のように一部に大きな数字がある分布では、「真ん中の人がいくらか」を表す中央値のほうが、多くの人の実感に近い数字になります。
女性の半分は300万円以下
女性では、300万円以下の人が約半分(49.3%)を占めます。この統計の「1年を通じて働いた人」には、正社員だけでなく、パートやアルバイトで1年間働いた人も含まれるためです。女性はパートなど短い時間で働く人の割合が高く、そのぶん給与の分布が低い側に寄っています。男女の差を見るときは、働き方のちがいが大きく影響していることを知っておく必要があります。
年代別の平均給与
同じ統計の年齢階層別の表から、年代ごとの平均給与を並べました。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 294万円 | 265万円 |
| 25〜29歳 | 460万円 | 383万円 |
| 30〜34歳 | 529万円 | 376万円 |
| 35〜39歳 | 598万円 | 362万円 |
| 40〜44歳 | 648万円 | 370万円 |
| 45〜49歳 | 683万円 | 377万円 |
| 50〜54歳 | 715万円 | 376万円 |
| 55〜59歳 | 734万円 | 357万円 |
| 60〜64歳 | 613万円 | 307万円 |
男性の平均は年齢とともに上がり、55〜59歳の734万円が最も高く、60歳を過ぎると下がります。女性は25〜29歳で383万円になったあと、50代までほぼ横ばいです。20代前半では男女の差は約30万円ですが、50代では340万〜380万円ほどに広がります。
「上位何%」で見ると、感じ方が変わる
スペック診断では、この分布を使って「同じ性別の給与所得者の中で上位何%か」を計算しています。たとえば男性で年収500万円なら、平均(約597万円)より低くても、真ん中(約510万円)とほぼ同じ位置で、上位50%あたりです。平均と比べるか、真ん中と比べるかで、自分の位置の感じ方はずいぶん変わります。
なお、この統計は年代別の分布(年代ごとの何%か)を公表していないため、スペック診断の年収は「同じ性別の全年代」と比べています。若い人ほど、結果は低めに出ることを覚えておいてください。
この記事の数字について
国税庁「民間給与実態統計調査」令和7年分の、給与階級別の総括表(第3表)と、年齢階層別の表(第10表)をもとに当サイトで計算しました。平均は各階級の平均給与と人数から計算した値、中央値は推計値です。給与は税金や社会保険料を引く前の金額(額面)です。